コーチング

世界で勝てなかったチームを世界で勝たせたのは選手の個性だった

こんにちは。
ベースボールバイブルの東です。

実は、知人から「指導者ならこの映画は見ておいた方がいい」と言われて紹介されたのが、この映画なんです。

ペレ 伝説の誕生

そうです。この映画は『サッカーの王様』と言われる、あのペレの物語です。

スラム育ちの少年だった彼がブラジル代表に選ばれ、わずか18か月で世界を変えてしまうほどの奇跡的なプレーを魅せたわけですが…。そこに至るまでの苦悩や葛藤が描かれている素晴らしい映画なんですね。

彼が生まれつき持つ才能と指導者が持っている理想。のちにサッカーの王様と呼ばれるほどの選手でもその間で悩まされていたのか、と…。

私はサッカーのことは全く知らないんですがブラジルがサッカーの強い国だということは何となく知っていました。でも、そんなブラジルも世界を相手にした時には勝ち切れていなかったようです。まあ、言ってみるとヨーロッパと比べるとサッカー後進国だったんですかね?

初のワールドカップとなった1930年はグループリーグで敗退、1934年は初戦敗退、1938年3位で、1950年は準優勝。この敗戦は「マラカナンの悲劇」と呼ばれていて、敗戦に悲しんで自殺を図る人までいたそうです。そして、次の1954年がベスト8とサッカー王国ブラジルも世界一になるまでは時間がかかったんですね。

そこに出てきたのがペレなんですが…。そんな彼のサッカー人生は苦悩と葛藤の連続だったようです。

というのもブラジルサッカーはその時まで世界で勝ち切れないわけですから、指導者はやっぱりヨーロッパのサッカーを取り入れようとするわけです。簡単に言ってしまうと選手の「個性」や「才能」ではなく、「組織」として戦って勝とうという方向に舵を切っていたわけですね。そうするとペレのような「個性」を持つ選手が邪魔なわけです。そして、ペレもその指導に合わせて自分を殺しながらプレーしたんですね。ところが全く活躍できない。それどころかまともなキックすらできなくなってしまいました。

そこで、ペレはサッカーを諦めようとします。

この時はまだ15歳くらいですかね。ですから、早くサッカーを諦めて家に帰って勉強をしないと膝を痛めてサッカーができなくなって職に困っているお父さんのようになってしまう、と…。実家に帰ろうとします。その時に小さなペレをスカウトした男性が電車を待つペレに駅で話しかけるのです。

男性「やれやれ、もう帰ってしまうのかな?」

ペレ「僕なんか全然ダメです。みんなのようにプレーできません。今、学校に戻らなかったらトイレ掃除(父親の職業)しかできなくなる」

男性「なるほど。でも、それの何がいけないんだ?」

ペレ「トイレ掃除ですか?」

男性「違うよ。みんなのようにプレーできないことの何がいけないんだ?」

ペレ「コーチに『プレーが幼稚だ』と言われました」

男性「古いのは確かだ。サッカーには長く豊かな歴史があるからな」

ペレ「なぜコーチは嫌うんですか?」

男性「それは…。元をたどれば16世紀のはじめまで遡る」

ペレ「ハッハッハッ(笑)まさか!」

男性「ふん!知りたくないなら私は帰るよ」

ペレ「違います。ぜひ知りたいです。お願いです。教えてください!」

そこで、この男性はブラジルサッカーの歴史をペレに教えるわけです。

男性「コトの始まりは16世紀のはじめ頃。ポルトガル人がアフリカから奴隷たちを連れてブラジルへとやってきた。だがアフリカ人たちは意志が強かった。だから大きなジャングルに逃げ込んだんだ。自分たちの身を守るために逃げたアフリカ人が拠り所にしたのが『ジンガ』。カポエイラ(格闘技と音楽、ダンスの要素が合わさったブラジルの文化)の基礎になっている戦うための技のことだ。奴隷制がようやく廃止されるとカポエイラの使い手たちはジャングルから出てきた。しかし、カポエイラがブラジル全土で違法になっていることを知る。そこで彼らは逮捕されることなく『ジンガ』を実践できる完璧な方法としてサッカーを見出した。それこそ、まさに『ジンガ』の究極の形だった。その後、やがて『ジンガ』はどんどん進化し、適応を続け、我々だけのものではなくなり、全てのブラジル人の中に宿るリズムとなった。しかし、1950年のワールドカップでほとんどの人は我々の『ジンガスタイル』こそが敗戦の原因だと信じてしまった。そして、我々がアフリカから受け継いだものに関わるものは何でも否定された。だから、君のコーチが君のプレーから『ジンガ』を取り除こうとしているように、我々は自分たちから『ジンガ』を取り除こうとしてしまっているんだ…。でも、君には強い『ジンガ』が宿っている。だから君には我々に『勇気を持って本当の自分を受け入れたら何が起きるのか』見せて欲しいんだ。嫌なら、あの列車に乗ることだ。ただし、何も分からずじまいだぞ。」

要するに、この男性は『自分を信じてプレーしなさい』と伝えているわけですね。

この言葉をキッカケにペレはチームに戻るんですが…。それでも葛藤があります。だってコーチは「パスを回し続けろ!」と指示を出していますからね。そのペレのプレーをさっきの男性は胸に手を当てながら見ているんです。きっと『自分を信じなさい』と伝えたかったんでしょう。もう、ここら辺で私の涙は止まらなくなっていましたが…

ついにペレが吹っ切れたのです。

ペレは自分の体内に宿る強いジンガを受け入れてサッカーをし始めたわけです。そこで父親に「いずれできる」と言われていたオーバーヘッドキックをして得点を決めます。そしたら指導者がペレを呼ぶんですね。

指導者「おいっ!こっちへ来い!今のは何のマネだ?」

ペレ「すみません…」

指導者「もう一度やれ!」

おーーーーー!(鳥肌全開です)

やっぱり指導者にも『ジンガ』が宿っていたのかもしれませんね^^

そして、ここからペレの才能は一気に開花します。

でも、これは所属チームであるサントスでの話。

これと同じような苦悩や葛藤がブラジル代表でもあるんですね。

所属チームでは受け入れられてもブラジル代表では…

そこではこんな言葉も使われていました。

「それは世界では通用しない」

もう、どこかで聞いたことある話ばっかり…

だって野球界でもよく聞く言葉ですからね^^

でも、ペレはお父さんからこう言われてたんです。

「俺がプロサッカー選手になりたてだった頃、俺は華麗なジンガを見せてプレーしたいと思っていた。ブラジル人の自慢の選手になりたくてな。でも、ついに試合を迎えた時、俺は迷いでいっぱいだった。そして、俺のキャリアは終わった。信じることをやめたからだ。迷いがあると華麗なジンガの動きは危険なものに変わる。お前は昔の俺よりも強くなれ。周りからお前やプレーのことをあれこれ言われても…。お前は自分のことを恥じるな」

そして、ペレがブラジル代表でも自分の中に宿る強いジンガを受け入れてプレーした結果、ブラジルはついに世界の頂点に立つことになります。しかも、3度も…

これは本当に素晴らしい映画ですし、ぜひともご覧になってほしいなと思います。選手も指導者もこの映画を見れば何かを感じるのではないでしょうか。

あっ!

この映画はアマゾンプライムに入会していれば字幕版も吹替版も無料で見ることができます。もし、アマゾンプライムに入会していなかったとしても字幕版は400円、吹替版は300円でご覧いただけますし、DVDでも2,794円で購入できるみたいです。ぜひともご覧になってみてください^^

ペレ 伝説の誕生(字幕版)
ペレ 伝説の誕生(吹替版)
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