こんにちは。
ベースボールバイブルの東です。
花巻東高校の佐々木監督のお話が素晴らしかったので紹介させていただきます。
佐々木監督は、秋になれば黄葉するイチョウの木が好きだ。ある日、父親から小さな植木鉢に入ったイチョウをもらったことがあった。
「本当は庭に植えるような大きなイチョウが欲しかったんです。でもそのとき、オヤジに言われましてね。小さな植木鉢に入ったイチョウも、庭に植え替えたら大きく育つんだ、と」
その時点で植物についての知識がさほどなかった佐々木監督にとって、それは衝撃の事実だった。それまでは、小さなものは小さいまま、植木鉢用の小さな苗木があるものだと思っていたのだ。植物や盆栽に興味がない人なら、それは当然の考えかもしれない。だが、現実は違った。
佐々木監督が照れくさそうに語る。
「器の大きさによって、木の大きさが変わることを、そのときに初めて知りました。そして、それは指導にも通ずるものがあると気づかされました。器を大きくしてあげれば、それ相応の大きさになる。『おまえはこれだけだ』と言って育てれば、それまでの選手にしか育たない、と。ある選手には段階を踏みながら、器の大きさを変えてあげることも必要だと感じました」
何の手も加えない、ありのままの素材にこそ独特の美しさがあり、味が出るものもある。それこそが個性と言うのかもしれないが、肉体的にも精神的にも本当の意味で成熟していない時期というのは、大人が軌道修正し、道を示してあげることも必要な場合がある。わずかに手を加えることで、それまで見えていなかった個性が輝き出すこともあるものだ。佐々木監督はそのことを知った。
「指導者というのは、時には何かを与えて選手の力を引っ張ってあげることも必要だと思います。大谷の場合もそうでした。160キロという数字を可能にするために、まずはその意識付けから始めました。要するに、大きな器を与えてみたのです」
ただ、時が来れば、矯正を外してあげることも必要になる。
「あるとき、盆栽の先生に言われたことがあります。手塩にかけて育てた盆栽に絡まっている針金が、今は成長を邪魔している、と。針金があるばかりに、縛りつけられている枝が成長を止められている、と。ある程度のタイミングで、矯正していた針金を外してあげないといけない。指導もそうだなと、私はつくづく思いました」
タイミングを逃さないためにも、いつも気にかけたり、見守ってあげることが大切なんだ。佐々木監督は改めて指導における大切なものを勉強させられたような気がしたという。
「ただ、大谷の場合は、初めこそ大きな器を用意してあげましたが、針金をかけることもなく勝手に育っていきました。彼にとって大事だったことは、こちらが邪魔をしないこと。針金をかけないことなんです。大谷が持つもともとの器が大き過ぎて、私が『かけられなかった』と言うほうが正しいかもしれませんが」
・器の大きさを変えてあげる。
・必要であれば手を加える。
・タイミングを見て針金を外す。
良い話ですよね。
ぜひ、参考にしてみてください。
では、また。
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