こんにちは。
ベースボールバイブルの東です。
北海道日本ハムファイターズの栗山英樹監督が『論語と算盤(そろばん)』を紹介していました。
栗山監督はこんな事を言っています。
■就任1年目で経験できたリーグ優勝
時は過ぎていく。
2018年のシーズンを迎えた私は、2012年の監督就任の頃を思い出している。
ダルビッシュ有という大エースをメジャーへ放出したチームは、その穴を埋めるために結束していた。私はただひたすら、ゲームを思い必死に生きていた。
もちろん、一瞬の判断に迷ったときに、選手に的確な言葉を掛けられなかったときに、そしてゲームに負けたときに、私は自分の力のなさに打ちのめされ、ユニホームを脱ぎながら肩を落とすこともあった。
ベンチで采配を振る自分の不安が選手を不安にし、プレーを変えてしまったのではないか。勝負の分かれ目で勝機を逃したのではないか。
そう思う私は、球場で虚勢を張り、声を張り上げていたこともある。それを知ってか、コーチ陣もスタッフも選手たちさえも全力を尽くしてくれた。
2012年、監督就任1年目にリーグ優勝を経験できた。そして、そのシーズンオフに、間もなく球界の宝となる翔平をドラフト1位に指名するのである。
■心に逃げ場所を作ってしまった最下位
だが、その翔平を有して連覇を目指しながら、2013年はどん底に沈んだ。戻らないゲームを振り返り、自分を否定し、幾晩も眠れぬ夜を過ごした。人間は弱い。監督就任1年目で優勝し、勝つことの喜びとそこから前進する意欲に満ちあふれた私は、気が付くと心に逃げ場所を作っていた。
「監督初年度はすべてが結実し、運にも助けられ優勝した。だが、毎年都合良く事が運ぶわけがない。今年は苦難を経験して成長する時期なのだ」
開幕からのスタートダッシュに失敗し、5月には9連敗を喫し、借金が膨らみ続ける中で、シーズン中盤から後半に入ってもどうにも事態は好転しなかった。
やがて、最下位が確定し、すべてのゲームが終わってオフを迎えると、私は恐ろしさで眠れぬ夜を過ごすことになる。
最下位の屈辱に耐えられなかったのではない。初のホームラン王をデッドボールの骨折で棒に振った中田翔の不運を悲嘆しているわけでも、高校生ルーキーとしてデビューした翔平を期待通り活躍させられなかったことを痛哭しているわけでもなかった。
■監督という立場での葛藤
命を賭して戦うとゲームに臨み、グラウンドに立ちながら、私はそうしなかった。私は逃げていたのだ。
監督である私は、大河の一滴ほどの思いであっても、負けることを絶対に肯定してはならなかった。決してたじろがず、歯車が噛み合わない現状にも耐え忍び、抗って、1ミリでも後ろに引いてはならなかった。覚悟を決め、できうる手立てを尽くさなければならなかった。
自分を信じ過信などしていないと思いながら、私は心のどこかで、負けることを仕方ない、成長の過程なのだ、などと考えていた。
そんな自分に辟易すると、私は監督という仕事に就くべきではなかったのだ、と後悔し、その思いに拘泥することになる。
次のシーズンに向け動き出さなければならないその時期、私は自身に決定的な事実を突き付けていた。“栗山英樹”という人間は、プロ野球の監督になどなれるはずがなかった。
そう、心根で感じてしまったのである。
■渋沢栄一に教えられた苦しみの意味
助けて欲しい。自分に何が足りないのか教えて欲しい。そんな自分が立ち上がり、再び監督として戦う力を与えて欲しい。そう思いながら、私は本棚にあった『論語と算盤』を手に取った。
私は変わらぬ姿勢で人の道を説き、生き方を教える言葉の主、渋沢栄一に出会ったのである。
苦しみもがく中で渋沢の『論語と算盤』を読み込んでいった私は、一人の人間として覚醒していった。“渋沢栄一”という信念を決して曲げない日本人の姿に、苦しみの意味を教えられ、再び立ち上がる勇気と人を育てる喜びを授けられた。
私は『論語と算盤』を読みながら、私自身の『論語と野球』を考えられるまでになっていくのである。
リーダーに必要な幾多の教えを胸に、私自身、試練から逃げることなく、最後まで自分を信じられる選手を育てるのだと誓っている。
この文章を読めば、栗山監督が『論語と算盤』という本に助けられたことがよくわかります。このように渋沢栄一が書いた本や孔子の言葉などはリーダー必読の書なんですね。実際の話、指導者になったらこの本が入り口だと言っても過言ではありません。いや、本棚に置く本はこの類の本だけで、それを何度も何度も読み返すだけでいいと言っても過言ではないぐらいの本なのです。ですから、リーダーであるならば、こういう本はぜひとも読んでほしいんですが…
売れすぎていてアマゾンでは新品が買えません^^;
中古はまだ何冊かはあるみたいなので読みたい方はお急ぎください。もちろんKindle版は売り切れることはないでしょうからKindleで読むことに違和感のない方はそれでいいと思います。
まあ、個人的にはこっちの本は読みやすいのでオススメです。
せっかくなので、一つだけその教えを紹介しましょうか。
5 「古きよきもの」と「新しいもののよさ」の“交通整理”
子曰く、故(ふる)きを温(たず)ねて新しきを知る、以って師と為るべしか。[為政]
世の中ではとにかく新しい学問を追えば、古い知識を忘れて着実さを欠き、反対に古いことだけに拘泥しておれば、新しい学問にうとくなって因循姑息に流れ、石頭になってしまうのは昔からの悪習である。
現在はもっぱら欧米の新思想にだけ没頭して、東洋二千年の道徳学を忘れ去っている。青年諸君は深くこの点に留意し、新しい学問を学んでも古い知識も忘れず、古きを温ねても進取の気性を失わず、古いもののよさを新発見してほしい。
祖先を崇拝することも、「温故知新」にほかならない。先祖の成し遂げた偉業を学び、これをさらに発展させたい。
先輩を尊敬することも、これまた「温故知新」で、これは、「自分より先に社会で働き、自分よりも豊かな経験のある人々について学び、新たに進むための知識を獲得しなさいということにほかならない。
本当に紹介できる時間があるんなら全てを紹介したいんですがそんなことはできないので、興味のある方はぜひこちらから購入してみてください。
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