こんにちは。
ベースボールバイブルの東です。
昨日のブログではジャイアンツの吉川選手には凄くて巧い内野手になってほしいという記事を書きました。(※【あの選手に期待する】凄くて巧い内野手に…|ベースボールバイブル・オフィシャルブログ)
ところで凄くて巧いってどういう事なのかというと、これは非常に簡単です。
凄い=補殺数が多い
巧い=失策数が少ない
ここに見た目がキレイなどという評価はありません。よくシートノックなんかを見てキレイにプレーをする選手が巧いと評価されがちですが誤解を恐れずに言ってしまえばそんな事は本当にどうでもよくて、あるレベルを超えるとどれだけアウトにできて、どれだけミスをしないのかが問われるのです。
ですから、凄くて巧い内野手というのは非常にわかりやすくて『多くのプレーに関われて実際にアウトにできる選手は凄い』そして『ミスをしない選手は巧い』と思ってもらって間違いありません。プレーが一見キレイに見えてもポロポロする選手は本当にたくさんいますがそういう選手の事を決して『巧い』とは言いません。そこで、まずは広島カープの菊池選手の守備がどう進化しているのかを数字で見てみましょう。
まず、彼はプロ入り2年目である2013年に二塁手としていきなりとんでもない数字を叩き出しました。その数字が補殺数528という数字です。しかも、この年は遊撃手としても16の補殺がありますのでこれを合わせると544の補殺を記録した事になります。この年に菊池選手が記録した528の補殺というのは当時の日本記録ですので、誰がどう考えても凄いという事はわかります。ただ、この年の失策数は18(遊撃手で1)でしたのでこの年はまだ菊池選手の守備は巧いとは評価されていませんでした。まあ、もちろんそれだけボールに関わっているわけですから失策が多くなるのは仕方ありません。ですが、実際のところ2013年の段階での菊池選手の守備というのは凄いけど決して巧くないという評価だったわけです。
そして2014年。この年の補殺数は今でも二塁手の補殺記録なんですが、この年の補殺数が535です。ただ、まだ失策数は二桁の12。守備率は.987でした。見ていると一般的な二塁手の評価基準は1シーズンで一桁の失策数で守備率.990以上の数字を残し始めると『守備が巧い』と言われ始めます。ですから、この年の時点でも菊池選手の守備は凄いとは言われていましたが、玄人の人たちからは、まだ『巧い』とは言われていませんでした。凄いのはわかるが、まだ巧いとは言えないというのが当時の評価です。
そして2015年。この年の補殺数が484。484という数字が低く感じるのが菊池選手の凄いところですが、それまで二塁手として名手だと言われていた中日ドラゴンズの荒木選手が21年間で484以上の補殺を記録したのは2005年の一度だけです。これだけで菊池選手がどれだけ凄い二塁手なのかがわかると思いますが、この年でもまだ巧いというレベルにまでは至らなかったのです。この年の失策数が10。守備率は.988。ですから、まだこの時点では凄い選手という評価だったのです。
ところが2016年。ついに凄くて巧い選手の域に到達します。この年の補殺数が525。525もの補殺を記録しながら、この年の失策数はわずか4。守備率は驚異の.995です。いまだかつてこのレベルに到達した日本人内野手というのはいません。しかも彼の本拠地であるMazda Zoom-Zoomスタジアム広島は土と天然芝の球場ですからね。まさにワールドクラスの選手です。疲労などもあり2017年は少し苦労しましたが、それでも補殺数407、失策数5、守備率.993という数字でした。400で少ないと感じさせるのは菊池選手だからですね。
こんな感じで菊池選手は『凄い選手』から『凄くて巧い選手』になっていったわけなんですが、先日、こんな記事を見つけたんです。
昨年のパ・リーグで80試合以上出場した遊撃手の守備成績をまとめるとこうなる。
源田壮亮(西武)/143試合/失策21/守備率.971
今宮健太(ソフトバンク)/140試合/失策7/守備率.988
安達了一(オリックス)/105試合/失策7/守備率.986
中島卓也(日本ハム)/91試合/失策9/守備率.977
茂木栄五郎(楽天)/87試合/失策8/守備率.977このなかで源田は唯一の2ケタ失策で、パ・リーグのゴールデングラブ賞に輝いた今宮の3倍もの失策数を記録してしまった。源田は言う。
「周りの方からは守備を評価していただくことが多いのですが、さすがにこの失策数はダメージが残りますね」
昨年の秋季キャンプで辻監督、馬場コーチから「2018年は失策数を1ケタにしよう」と言われたという。目標に向けて黙々と居残り練習をこなしてきた源田だったが、昨年11月に開催されたプロ野球アジアチャンピオンシップに侍ジャパンのメンバーとして選出。これにより「当初予定していた強化プランが3カ月後ろ倒しになってしまった」と馬場コーチは見ている。
それでも源田への信頼は揺るがない。馬場コーチは言う。
「もともと呑み込みが早い選手。ショートの守備は12球団でもトップクラス。昨年、21個のエラーはありましたが、逆にほかのショートでは取ることのできない21個のアウトを源田は取っています」
このように源田選手は1シーズンで21の失策をし、その守備率は.971なんですね。ですからイメージではなく数字で評価をすると、まだプロ野球選手としては巧い内野手ではないというのが正当な評価です。ただ、馬場コーチは源田選手は凄い内野手であると評価されているんですね。実際にその数字を見てみると、昨年の補殺数は481です。ちなみに昨年の今宮選手の補殺数が377ですから、源田選手の補殺数は今宮選手より100以上も多いんですね。まあ、これは今宮選手の補殺数が少ないのではなくて源田選手の補殺数が多いんです。実際に遊撃手の補殺記録というのは1948年に杉浦清選手が記録した502補殺だと言われています。2000年以降では小坂誠選手が記録した492補殺が最高の数字です。この数字を見ても源田選手が1年目に残した481補殺という数字がいかに凄い数字であるのかがわかると思います。ただ、二塁手とは評価基準は違いますが数字で見るとまだ巧くないというのが現実です。ですから、ぜひ源田選手には菊池選手のように『凄い選手』から『凄くて巧い内野手』になっていってもらいたいなと思っています。
では、また。
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