こんにちは。
ベースボールバイブルの東です。
オリックス・バッファローズの吉田正尚選手。
まだ1シーズン通して活躍はできていませんが、今年も素晴らしいバッティングを魅せてくれました。
そんな吉田選手が高校野球ドットコムさんのインタビューに答えていたんですが、これがまた良いこと言ってるので紹介させていただきます。
「ホームランというよりは『遠くへ飛ばしたい!』という気持ちがものすごく強かったです。スイングスピードを速くできれば、体の小さな自分でも遠くへ飛ばせるんじゃないかと思い、小2の時に中学生が使うような1キロくらいの重さがあるマスコットバットを父に誕生日プレゼントで買ってもらったんです。最初は重いバットに自分が振られてしまうような状態で全然振れなくて。『この重いバットが軽く感じられるようになりたい! このバットを使っても体がぶれることなく振れるようになりたい!』という一心で毎日、マスコットバットをがむしゃらに振り続けました」
素振りをする際はフォームのことを意識しながら振っていたのだろうか。
「いえ、形の事は一切気にせずに振っていました。スイングスピードを上げることと『どうすればインパクトで力を集約できるか、どうすれば自分の持っているパワーをロスなくボールに伝えられるか』ということをひたすら身体で考え、追求し続けた。それが正しいやり方なのかどうかは当時はわからずにやっていましたが、今、振り返ると、あの時に形から入らず、がむしゃらに振り続けたことが、自分のスイングの『土台』を築いてくれた気がします」
――世の野球少年たちにも「最初から形を気にするな」と言いたくなりますか?
吉田 正尚(以下、吉田)そうですね。小学生のスイングを見てアドバイスを求められる機会があった時も「土台ができていないのに、形のことだけをいくら言ってもなぁ…」と思ってしまう。仮に形から入って指導したとしても、体が成長して、大きくなった時にその形が合わなくなっている可能性も高い。現場では「こう振れ」と形から指導する指導者が多いのかもしれないですけど、最初から形を押し付けるんじゃなく、高校生になるくらいまでは形は気にせず、ガンガン振ることを大事にしたほうが将来的にいい打者に育っていけるような気がします。
――まずは土台。形を気にせずに強く振ろうとするうちに自然といい形も生まれるかもしれない?
吉田:そうなんですよ。最初から形を気にするよりも、強く振る事を意識し続ける中で、結果的にその時の自分に1番合ったいい形が生まれるんじゃないかと思う。そして、その形はほかの誰かに教わった形よりも断然強い。自分の感性を信じ、考え、試行錯誤を繰り返すことで身につけたものは強いし、打撃の引き出しも自然と増えていく。
――自分で見つけたものが1番強い。
吉田:そう思います。だから「自分で見つけるんだ!」という気持ちを強く持つことが大切。見つける過程で悩んだら、指導者の方々に助言を求めに行けばいいし、納得できるアドバイスがあればミックスさせていけばいい。でも最初から教えてもらう受け身の形ではバッティングはなかなか本物にはなっていかないと思うので。
個人的には大賛成で素晴らしい意見だと思います。そして、結果的にこうやって吉田正尚というバッターが作り出されたわけですね。
もう何年前になるでしょうか…。彼がまだ青山学院大学の選手だった時、彼のことをブログに書いたんですが、今読み返してみるとこんな事を書いていました。
今日は面白い話をしますね。
何の話かって言うとバッティングの話なんですが・・・
バッティングって奥が深いですよね。
答えなんてありません。
ですからハマるとどんどん追求したくなります。
しかも、そういう興味って・・・
なぜだか分かりませんが野球をやめてから持ち始めます。
で、
野球をやめてしまったら、本気で打つ場面なんてないんですから知識だけ増えていきます。
おかげで、
バッティングが分かったような錯覚を持ち始めます。
どうです?
バッティングが分かった気になってる人・・・
いるでしょ?
でも、
現役選手はそういうわけにはいきません。
理論は大事かもしれませんがボールを打たないといけないのです。
ボールを打つという事は10回中7回は失敗するという事です。
それに、
1つの理論を表現するのも大変です。
身体に染み付いたものというのは簡単には変えられないんですから。
動作を変えるというのは本当に大変なことなのです。
ところがです。
大人はそんなことはお構いなし。
学んだ事をどんどん子供に伝えます。
それは良い!
素晴らしい!
目からウロコ!
手に入れればすぐに子供にやらせようとします。
言う方は気楽なもんです。
言うだけですから。
ただ、
打つ方はたまったものではありません。
打たないといけないんですから。
ところが、
このギャップに気づいてない大人の多いこと。
野球塾を見て下さい。
本当に子供が行きたいと思って行っているでしょうか?
ほとんどが違います。
大人が連れて行っているのです。
そこで学べば子供は打てるようになる!
って。
でも、子供はどうでしょう?
子供の目は輝いているでしょうか?
まあ、
中にはそういう子もいるかもしれませんね。
でも、
この選手はドンドン吸収しようとしてるな!
って感じさせてくれる選手を僕はあまり見たことはありません。
ただ連れて来られてるだけ。
まあ要するに、
熱くなってるのは大人だけだったりするわけです。
(中略)
ここからが面白いんですが・・・
青山学院大学に敦賀気比出身の吉田という選手がいます。
今年のドラフト候補選手です。
で、
彼のスイングは150キロ近いんですね。
まあ恐ろしいスイングをするんですよ。
でね、
彼がなぜこのスイングを手に入れられたと思います?
あっ、
もちろん彼の努力の賜物ですよ。
ただ、
彼のお父さんが良いんですよ。
彼は小さい時からお父さんにトスを上げてもらって打っていたわけです。
でね、
そのトスを上げている間・・・
お父さんは一言もしゃべらなかったそうです。
何も言わず淡々とトスを上げ続けた。
さて、
自分自身を思い返してみて下さい。
子供にトスを上げる時、どうでしょう?
10球に1回ぐらい何か言ってません?
そういう大人が多いんですよ。
自分のアドバイスで良くしてやれる。
自分はバッティングを知っている。
子供の事も一番知っている。
そう思ってしまってるんですよね。
でも・・・
ほとんどが邪魔です。
ただ邪魔をしてるだけ。
吉田選手を見て下さい。
彼はお父さんに教えてもらってません。
自分の感性でスイングを作ってきたのです。
だからこそ、
彼のスイングにはリミッターがついていないのです。
お父さんは吉田のために練習に付き合ってくれただけ。
それだけです。
それで振れるようになるわけです。
でね、
僕はこう考えているんですよ。
人間は誰もが140キロぐらいのスイングはできるポテンシャルを持っている。
ただ、
大人の一言が選手の中に入る。
これで1キロダウン。
また一言が入る。
また1キロダウン。
それが積み重なって・・・
多くの選手が120キロ前後になる。
要は、
必要のない一言一言が選手から可能性を奪っている。
そんな風に考えています。
まあ、
最終的に140キロで振れたらいいし、精度が高いバッティングが出来ればいいだけですから・・・
教え込んでそうなるならそうすればいいんですけどね^^
ただ、
熱くなってるのは大人だけ。
なんて事はないですか?
気をつけて下さい。
バッティングってね、勉強すればするほど分かった気になるんですよ。
まあ、これはバッティングに限らずだと思いますが…
その分野のことを勉強すればするほど分かった気になって、今自分は世界最先端の知識を身につけているって思い込んでしまうんですね。
なんてことはありません。僕もそういう経験があって『自分は最先端を走ってる』って思い込んでいた時期がありました。それだけならまだマシなんですが、他人の理論を聞いた時にそれが幼稚な理論に聞こえてしまう事まであったんです。
これってね、恐ろしいことなんですよ。
もちろん自分の理論に一本の軸を持たせるのは素晴らしいことだと思うんですよ。でもね、その軸からはみ出した理論を聞いた時に否定してしまったり、否定したくなったりするっていうことはですね、(これは僕自身の経験ですが)そういうスイングをしている選手を見た時も否定してしまいたくなっちゃうんです。
それって持ってる理論は違うにしろ、結局は一つのスイングを押し付けてきた昔の指導者と何ら変わりないじゃないですか。タチが悪いことに僕の場合はそれが世界最先端を走る理論だと思ってしまっていたわけですから僕は気づいてないけど選手は今まで以上に苦労していたわけです。それでもまだ最先端を教えているつもりでいましたからね。全く悪いことはしていないと思っていました。今思えば恥ずかしい話ですが最先端の理論が知れてこの選手たちは幸せやなって思ってたぐらいです。
まあ、もちろん勉強することや研究すること、実験することは素晴らしいとは思います。でも、それによって他人の理論に耳を傾けられないんだとしたら危険な状態でしょうね。だって、自分が持ってる世界最先端の打法で打ってない選手が打ちまくってることってありますからね。そういう選手を見た時でも自分の理論との共通点を探したりするんですよね。まあ、そうなってしまってたとしたらめちゃくちゃ危険な状態ですので気をつけてください。
まあ、こんな話は気にしなくて結構です。
では、また。
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