こんにちは。
ベースボールバイブルの東です。
先日、ある強豪校のコーチとお会いして、その方が作られた資料をいただいたんです。
その中にトレーニングジム「アスリート」の平岡代表が話している内容があったんですが、その一部を紹介させていただきます。
衝撃の写真の正体は鷹のトリプルスリー男
「日本の野球界って、ウェートトレーニングに関する理解度がいまだにものすごく低いんですよね…」
インタビューは平岡洋二代表のそんな嘆き節から始まった。
「『ウェートで筋肉をつけて体が大きくなったら動きが悪くなる』などと誤解している人もすごく多くてね」
リモコンを手に取り、取材部屋に置かれたテレビモニターの電源を入れた平岡代表。画面には高校生とおぼしき、1人の華奢な球児が写っていた。
「これ、誰だかわかる?」
「わからないです…誰なんですか?」
「高校時代の柳田悠岐だよ。ソフトバンクの」
「えーっ!?」
ガッチリとした体躯が印象的な現在の柳田選手とはあまりにもかけ離れた細い体。思わず絶句してしまった。
「高3の時だけどガリガリでしょ?背は既に180センチ以上あるのに体重が65キロくらいしかなくてね。高校野球が終わってからうちのジムにくるようになったんだけど、そこから大学に入るまでに10キロ、大学4年間でさらに10キロ増やしてプロに入ったんですよ。でも柳田は体重が増えてからの方が足が速くなってるんです。」
体重増=排気量アップ。ポイントは「体重比」
ー体重が20キロ増えたにもかかわらず、足が速くなったということですか。
平岡 そういうこと。瞬発力の指標となる垂直跳びの数値もぐんと伸びてる。金本もうちに来るようになったプロ入団当初は78キロだったんだけど、一番足が速かったのは、人生で一番体重が重かった91キロの時だったって言うんだから。盗塁王の獲得経験者である野村謙二郎、緒方孝市、福地寿樹、丸佳浩といったところもうちでトレーニングを重ねた面々だけど、みんな体重を増やして行った中で獲ってるからね。去年、初の盗塁王に輝いた横浜DeNAの梶谷隆幸も10キロ増やして獲った。
ー「身体が重くなれば動きが悪くなる」と信じている人たちからすれば衝撃の事実だと思います。
平岡 体重を増やすことは、例えるなら、車のエンジンを大きくするようなものですよ。1000ccのエンジンの車と3000ccのエンジンの車とだったら普通は3000ccの方が車重は重たいじゃないですか。でもスピードが出るのはどっちですか?
ー3000ccの方ですよね。
平岡 要はそういうことなんですよ。体重を増やすことは車のエンジンを大きくすることを考えれば、合点がいくんじゃないかと思います。
ーでも体重が増えれば誰もが動きがよくなるというわけではない?
平岡 もちろんこれはトレーニングによって、筋肉量の増加が主となって体重が増えたケースを前提にお話ししています。体重を増やしても動けるかどうかのポイントは「体重比」という数字。スクワット及びベンチプレスで挙げられる最大重量を自分の体重で割った数字なんです。例えば体重50キロの人が100キロの重量をスクワットで持ち上げることができたとしたら100÷50でスクワットの体重比は2.0ということになります。この人はウェートトレーニングを頑張ったことによって筋量が増えて体重が60キロになった時に体重比が同じ2.0のままだと120キロの重量が挙げられるようになる。でもだいたいの場合、130キロ、140キロが挙げられるようになるケースが多いんですよ。つまり体重比があがるんです。
ー体重比が上がれば、その分、動ける体になるということですか?
平岡 体重比が上がれば瞬発力の指標となる垂直跳びの値も向上する場合はほとんどです。私は身体のキレを数値化したものが体重比だと思っています。
ーちなみに金本さんの最高体重比ってどれくらいだったんですか?
最高はトリプルスリーを達成した時の2.42ですね。彼はまだ細かった入団当初から、細い割には重い重量が挙げられる体重比が高い選手だったんですよ。金本に限らず、後に一流になる選手は細い時代から体重比が通常の人よりも高めの傾向がありますね。それが本当の意味での身体能力だと思います。
競技特性を踏まえた練習メニュー作りを
ー今の高校野球界のトレーニングのあり方についてなにか注文をつけたくなる点はありますか?
平岡 練習時間に占めるランニングの時間が長いことですね。時間をかけて長距離を走っているチームがいまだに多いんですよ。いったいなんのためにそんなに走ってるのかと言いたくなります。走れば走るほど身体は大きくならず、むしろ小さくなってしまう。ヒザだって痛めやすくなる。よく「足腰を鍛えるために走っている」という人がいるんだけど、野球に必要な足腰の強さはランニングでは鍛えられませんから。マラソン選手が野球に求められてるような足腰の強さを持ってるのかという話ですよ。練習時間に制約がある高校生が、大きく時間を割いてまでやる必要はないのでは?と思います。
「アスリート」のトレーニング論
身体のキレを数値化したものが体重比であり体重比そのものが身体能力である。
非常に参考になるお話ではないでしょうか。
この話から考えるとイチロー選手というのは根本的に体重比の高い選手だったのかもしれませんね。
まあ、参考まで。
では、また。
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