バッティング

【フライボール革命】忘れてはいけないことは…

こんにちは。
ベースボールバイブルの東です。

『フライボール革命』

「ゴロを打て!」「低い打球を打て!」と言っていた野球を否定し、ホームランを打てる可能性を潰してしまわずに「フライを打て!」というのは非常に夢のある話ですし、個人的には若い年代の選手なんかはまだまだ可能性の塊ですからそういう夢を持ってバットを振り続けることは大切なことだと思っています。

実際にプロ野球の世界で567本ものホームランを打った門田博光氏は天理高校時代にはホームランを打ったことがないんですね。門田氏だけではなくて378本のホームランを打った小笠原道大氏も高校通算本塁打は0本です。ですから、どんな選手にもまだまだ可能性は残されているとは思います。

ただ、個人的にはフライボール革命の話で気になることもあるんですね。

それは「フライを打つことばかりに夢中になっていないか?」ということです。まあ、ワールドチャンピオンになったアストロズの選手たちが「フライを打て!」と指導されてあれだけの強力打線ができたわけですから単純にフライを打たせたらいいのかと思うのも無理はありませんが、根本的な話として彼らにはそれだけのスイングスピードがあることを忘れてはいないでしょうか?

昨年、話題になった『バレルゾーン』。これも、そもそもの話として158キロ以上の打球が打てなければ例え打球が30度前後の角度で上がったとしてもバレルゾーンを通過したということにはならないと知っている人が少ないことが気になります。要するに多くの日本人選手たちはフライを打つことには夢中になり始めてるんですが打球速度を上げることにはさほど夢中になっていないのではないかと思うわけです。

実際のところフライボール革命を取り入れて強くなったチームは打球角度よりも打球速度の方が大事だと気づいていたと言われています。ですから選手を補強する際にも重視したのはその選手が持つ平均打球速度だと。だって、ある程度の打球速度が出せるのであれば、あとはフライを打つ技術を磨かせればいいだけの話ですからね。要するに土台となる体がしっかりしていれば技はなんとかなるということでしょう。

そこで、冷静になって考えてみてほしいんです。

フライを打つというのは体力の話でしょうか、それとも技術の話でしょうか?

これはどちらかといえば技術の話ですよね。でも、その技術をものにして30度前後の打球を打ってホームランにしようと思ったら少なくても140キロぐらいの打球を打てなければいけないんですね。

これはそのデータです。

この表には136キロから144キロの打球速度が出せたとしたら1000本に1本くらいはホームランが打てるよと書かれています。1000本に1本。はい、わずか0.1%ですが…

ですから、こういう声が出てくるんでしょう。

野村氏「(球団会長の)王さんに(スイングについて)いろいろ言われない?」

柳田「はい、言われます」

野村氏「やっぱり言われるか。アッパー(スイング)だな」

柳田「(自分自身の)イメージはダウンで、あのくらいです」

野村氏「あんなスイングでいい結果を出されたら困るんだよ。プロ野球の発展の邪魔になる。みな、王や長嶋(茂雄、巨人終身名誉監督)のまねしてレベルスイングなんだから。今は柳田の時代だから、そういうのを背負って野球をしないと」

柳田「ありがとうございます」

野村氏「俺には分からんけど、結果が全ての世界だからそれでいいんだろう。人がまねできない柳田独特の打ち方だけどね。プロ野球の発展のために頑張ってください」

ソフトB柳田規格外アッパー ノムさんぼやき吹っ飛ばした 初打席初球を弾丸二塁打|西日本新聞

選手にもわずかだが、変化が見られるようになった。ソフトバンクの柳田は昨季「ボールの下を打つことを意識している」と発言。実際に打率・310、31本塁打、99打点の好成績を残した。

日本にもその流れが来たかのように見える。昨季までソフトバンクの打撃コーチを務めたオリックス・藤井打撃コーチは否定的だ。

「これまでと逆のことを教えることになる。僕らの立場では難しい。例えば非力な1、2番の打者がポンとフライをあげていたらどう思うか。導入するにしてもある程度パワーのある打者に限られるのではないか。柳田の場合はラインドライブの打球が多かったからという理由がある。例外ではないか」

元メジャーリーガーのオリックス・長谷川滋利SAも「向こうは球場によって気候の影響で飛ぶ球場がある。日本には向かない。ボールの下をたたいて飛ばすのは、あのイチローでも“難しい”と言っていたくらいだからね」と同調した。

日本でも起きる?「フライボール革命」 常識覆す「ボールの下たたく打法」|デイリースポーツ

実際にこの方たちは日本人の現状の能力がわかっているんでしょう。日本人にどれだけのポテンシャル(可能性)があるのかは置いておいて、現状の能力ですね。それがわかっているんだと思います。

でも、この記事を読んだ人は頭が硬いと思ったかもしれません。日本人の可能性を潰していると感じた人もいることでしょう。ただ、日本人の現状だけは知っておくべきではないでしょうか?

早稲田大学のホームページにはこんな分析結果がありました。(※http://www.waseda.jp/sports/supoka/research/sotsuron2010/1K07B024.pdf)

ここには早稲田大学の野球部の野手13名(身長:176±6.1cm、体重 71.9±8.7kg)が打った打球速度が書かれています。この13名がどんな13名かはわかりませんが早稲田大学という強い大学の選手たちが出した打球速度の平均が131.8キロだったそうです。

もう1つ、愛媛大学のホームページあった分析結果によるとティー打撃で出した中学生の打球速度が110.7キロ。高校生の打球速度が121.6キロ。大学生が128.6キロ。一流選手が138.1キロであったと書かれています。(※http://www.ed.ehime-u.ac.jp/~kiyou/2007/pdf/19.pdf)

ティー打撃では打球速度はわからないだろと思った方もいるかもしれませんが、打球速度というのは投げられてくるボールのスピードはそれほどの影響しないと言われていますので実際のボールを打っても大きく変わらないと考えられます。

ですから、実際これが日本人の現状の能力なんですね。まあ、数字だけ見てもイメージが湧かないでしょうから少し動画を見てもらいましょう。

90.4マイル(約145キロ)、打球角度39度で打ち出された打球がどんな打球かを見てください。

この打球でも145キロですからね。それが39度で上がってグラウンドの形状にも助けられてギリギリホームランになったわけですが…。145キロの打球速度と39度の打球角度だったら外野手追いついちゃうんですよね^^;

試しにバッティングマシンを用意して140キロぐらいにして35度ぐらいで打ち上げてみると面白いかもしれませんね。高校生とか大学生だったら大概捕っちゃうはずですから。大学生の能力だと打球速度130キロぐらいだと言われていますから130キロを35度で打ち上げてみるのもいいかもしれません。そういう現実も見ておくべきだと思います。

ところで、こっちの打球はどうでしょうか?

88.3マイル(142キロ)、打球角度27度の打球です。

この打球はさっきの打球より遅いんですよ。それでも142キロですが…。それが打球角度27度で放たれたら良い打球に見えません?

しっかり外野の頭も越えますしね。

まあ、どういう打球を打ちたいと思うのかは人それぞれでいいと思います。スイングの軌道だって坂本勇人選手のようにアッパー気味という選手もいれば、柳田選手のように気持ちはダウンという選手もいていいはずです。ただ、どんなスイングを選んだとしても、例えばダウンスイングの意識で振っていた選手がアッパースイングで振ってみたとしてもスイングスピードが何キロも速くなることはありません。そこは自分自身が持っている体が関係してきますからね。それにスイングスピードが速くなったとしても、しっかりとミートできなければ打球速度というのは下がります。バットの芯に当たった打球と芯に当たらなかった打球では打球速度が違いますよね。ですから、打球速度をあげようと思ったら体と技のレベルアップが求められるわけです。

長々と話してしまいましたが、要するに今日伝えたかったのは打球速度を上げようとすることを怠ってはいけないということです。個人的にはこれだけは忘れないでほしいなと思っています。

まあ、参考まで。

 

 

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